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Author:芳野 朔
芳野です。自作小説と手芸、日々の雑感をたま〜に綴っていきます。尚、ここに投稿された小説の著作権は全て私、芳野にあり、他の文章はその筆者に著作権があります。無断転載・盗用等を禁止します。

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2007年が暮れていきます

年の瀬ですねー。
昨日は、和商市場へと行ってきました。家族の希望による、筋子を買うためだったのですけど、午前中だったので、市場はそんなに混んではいませんでした(数年前、午後に出かけた時は、すごい人込みで身動きができないくらいでした)。


さて、どーんと蟹です!
2007 001



蟹です!!
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蟹です!!!
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勿論、買えません!!!!
近くのスーパーで、もっと安い毛がにを買って、冷凍してあるのですよ。
元旦に食べるつもり〜。うふふふ〜。蟹ちゃん、待っててね〜〜〜。


市場名物の勝手丼です。
ご飯をよそってもらい、そこにお好みの具を買って、ご飯の上に載せてもらい、食べるのです。
まだ試したことはないのですが、一度は、市場の喧騒の中で食べてみたいと思ってます。
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筋子だけを買うつもりだったのですが、ここのお店のたら子はとても美味しいので、買ってしまいましたー。
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そして、な、なんと、メンメも買ってしまいましたー!!!!
滅多に買えないです。高いせいもあるのだけれど、品薄です。
子供の頃、お正月の時や特別な時に、母がナマのメンメを一匹、塩茹でしてくれました。すごーく美味しかった。
あとは、こうして、開いて干したものをフライパンで焼いて食べます。脂が多いので、魚焼きグリルでは火がついて危ないのです。
知人は、小さなメンメを買ってきて、素揚げをすると言ってました。骨まで食べられるとか。今度、試してみたいですねー。
メンメはキンキの一種なのかな。
多分、道東にしかない魚だと思います。
美味しいですよー。
一枚2300円のものを2000円にしてくれたので、2枚買いましたよ!!!
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縦半分に切って、フライパンで焼くところ〜。
007.jpg

切り方、下手っ!


散財してしまいました(^^ゞ
1月2日からは納豆生活に戻ります。。。。


ということで、2007年も今日で終わり!
主婦ブログになってしまったけど、こんなのも、いいのさ!!

スミマセン〜。暗い話題です〜。





























R-18の一次選考結果が発表されました。
落ちました〜。
結構、落ち込んでおります。
自信、あったんだけどなあ(^^ゞ
そんなに、読めない、つまらない作品だったのかい!、と叫びたい心境です。
まあ、落ちたものは仕方ないので、来年二月に発表される最終選考通過作品を読ませていただいて、勉強させていただくつもり。

はああ〜。
いや、立ち直りは早いんですけどね(笑)

『ファイトだ、エイタ!』

「真行寺ハルカさんと付き合うのなら、胃薬と風邪薬は常備しといた方がいいですよ」
 味噌ラーメンの載ったトレイを持ち、テーブルに向かおうとした時、ぼそぼそとした低い声が聞こえた。立ち止まり声の主を探したが、混雑している学食内のこと、小さく舌打ちされただけだった。学生達は人込みを縫うようにして歩いている。結局、誰の声なのかわからなかった。空耳だろうと思い、オレは窓際のテーブルに顔を向けた。先に席に着いていたハルカがにっこりと笑い、小さく手を振ってくれた。ゆるくカールした髪。つぶらな瞳。綺麗にカーブしている唇。窓から冬の日差しが入り込み、ハルカが眩い。オレが微笑むと、ハルカは、はにかんだような笑顔を浮かべ、俯いた。
 カ、カワイイ。
 思わず顔が緩んでしまう。
 エイタ、二十一歳。
 彼女イナイ歴二十一年に、ついに終止符を打ち、人生初の彼女ができた。可愛くて奥ゆかしくて、最高にキュートなハルカ! なんてオレは果報者なんだ。果報は寝て待てというが、まさにそのとおり。
 男兄弟の末っ子として生まれたオレは三歳から柔道を学んだ。父の転勤により全校生徒十五人という離島の小学校で六年間を過し、その後は都会に出たものの、中高一貫教育の男子校。最後に女子と手を繋いだのは、幼稚園のお遊戯会じゃなかったろうか。
 思い起こせば、黒黒黒、暗黒色の学生服の男達か、白白白、黄ばんだ白の胴着姿の男達。汗臭さと足の臭さが混じり、ニキビ痕やヒゲ面に囲まれた日々に、オレは是非とも永久サヨナラを告げたかった。大学は女子学生の比率の高い男女共学校ばかりを受験した。なのに、合格した学部は女子が少なく、しかも、むくつけき野郎が集う柔道サークルにいたってはため息すら出てはこない。大学生デビューを目論んだものの、全てが水泡と帰し、オレは半ばヤケクソになりながら柔道の練習に励んでいたのだ。思えば、長く苦しく重い青春時代であった。
 忘れもしない六月十二日、後輩相手に寝技を決めた時、ショッキングピンクの小さな足に目が止まった。視線を上げていくと、ショッキングピンクのふくらはぎに、小さな膝、すらりと伸びていく太腿、そして、ショッキングピンクの火花が炸裂。恋にハルカにノックアウトされたのだった。
 寝て待っていた甲斐があったというもの。かくなる上は、次のミッションへと進みたいところだが、あ、いかん、くしゃみが出そうになる。風邪かもしれん。まいったな、明後日はクリスマスイヴだというのに。いやいやいや。これは絶好のチャンスかもしれん。風邪をひいていることを口実に、オレのアパートで二人っきりの聖夜を過ごせという神様のお告げに違いない。

 お気の毒に。
 あれほど忠告したのに。エイタ君ときたら、すっかりお目々がハートに、オツムはあらぬ想像でふくらんでいるではないですか。
 だいたい、ハルカさんと付き合うのなら、強靭な肉体とダイ・ハードな精神が必要なんですよ。ハルカさんの前衛的な料理に太刀打ちするには常日頃から胃薬を飲んでなきゃならないし、風邪をひいて寝込もうものなら、看病と言う名の拷問が待っているわけですし。
 いや、ちょっと待ってくださいよ。
 その前に、目薬をさして、目を冷静にさせなければならないのかもしれません。ふむ。これはメモしておかなければなりませんね。 
 
 あたしは思わず下を向き、顔を隠した。
 あそこにいるのは山田じゃないか。なんか、ぶつぶつ言いながら、ノートに書き込んでいる。何を考えているのかわからんヤツだが、今度こそは、あいつに邪魔させないんだから。
 あ、いけない。集中集中、エイタ君に集中。エイタ君の顔が赤いのは熱があるせいね。昨日からくしゃみをしてたし。ひどくなる前に風邪を治さなきゃ。ハルカ、特製の風邪薬を持ってきたんだ。こっそりラーメンの中に入れてしまおう。
 うふっ。

  ―了―

〜「目薬、風邪薬、胃腸薬」「薬は飲まないように」

 エイタ君のクリスマスイヴに合掌。

 ええっと、ちらっと書いていたものがどうにも読後感の悪いもので、書き終えることなく、お題が流れたので、こちらを完成させました。
 読者に楽しんでもらおう、笑ってもらおう、というのは難しいですね。今回はあまり上手くできなかったように思います。


 ところで、12月中旬発表のR−18の一次選考結果。下旬になったんですけど、未だに発表がありません(^^ゞ
 ね、年内には発表があるんですよね? ね?



 と、ネットの隅で、虚しく問うてみる。


『声』

 華やかな時が巡ってきた。街に雪が降り積もり、中心部にある公園では、樹々がライトアップされ電飾が輝く。日中とは違う明るさの下、人々が歩いていく。恋人達は二人きりで、友人や家族のいる人達は、和やかで暖かな一夜を過ごすのだろう。
 私は朝から掃除をし、料理を作り、ワインを冷やした。ラム肉はたれに浸けられ、サラダは冷蔵庫の中に入っている。ケーキを箱から取り出し、テーブルの中央に置いた。十五センチサイズのケーキは生クリームの上に苺や、緑の柊が飾られ、チョコレートのプレートにはMerry Christmasと綴られていた。それから、二人分のワイングラス、皿、フォークやナイフを並べた。窓辺には、写真立てと鮮やかなポインセチアの鉢が置かれている。用意が整うと、三年前と同じドレスを着た。カーテンを閉め、携帯電話を開いた。部屋の灯りを消したので、ディスプレイの画面が明るくなり、すぐに暗くなった。親指で操作をすると再び明るくなった。私は携帯電話を耳に当てた。
「美咲? ごめん、仕事が終わらないんだ。まだ帰れそうにない」
 圭一の声が聞こえてきた。低く温かで、私の大好きな声。少し掠れているのは、風邪をひいているからだ。
「無理しないでね。大丈夫?」
 ゴホゴホと咳をする音に重ねるように言う。
「悪い悪い。九時までには帰れると思うから。プレゼント、ちゃんと用意してあるから。じゃ」
 私は何かを言おうとして口を開いたが、電話は切られてしまった。
 何も聞こえてこない携帯電話を閉じ、テーブルの上に置いた。テーブルの中央にはクリスマスケーキと、ひしゃげた小さな箱。箱の中には三年前のクリスマスプレゼント、シルバーのリングが入っていた。
「ばか」
 小さく呟いた。
 プレゼントだけあっても、何もならないじゃない。帰ってくるのを急がなくなったって良かったのに。信号を一つ見送ってくれれば……。
 顔を両手で覆った。掌で涙を押さえようとしたが、無理だった。忍びやかに過ぎていく夜に、私は心を閉じた。


  ―了―

〜「鮮やか、和やか、忍びやか」「電話で話をさせる」

えーと、美咲と圭一が電話で話しているのではなく、携帯電話の留守録に入っている圭一の声を聞いている、という設定です。
悲しい話になってしまった。。。。

「忍びやかに」が難しかった。イメージは浮かび、この話になったんだけど、ラストの一行がどうにも決まらない。迷った末にこの文になったんだけど、自分としては、納得できてない。

そして、なんと!
831文字!!

奇蹟っておきるものなのだなあ。じーん。。。。。。

『ハルカ、負けないっ!』

 年末のある日、シュン君からメールが来た。
 シュン君は我が学部、いや、我が大学ナンバーワンでオンリーワン(当たり前っ)のイケメンで、スポーツ万能、頭も良くて優しくて、もうもう、どこから見ても、イケメンの王道をダントツトップで独走しているのだ。そんなシュン君だけど、所属しているサークルは俳句愛好会。意外にシブイ好みで、そんなところも、ミ・リョ・ク。
 シュン君の実家は長野にある老舗の旅館。テレビ番組で紹介されたことがあって、檜風呂や茶室があったり、客室の床の間の掛け軸や壷は煤けているような感じだったけど、結構なアンティーク品らしくて、リポーターをやっていたタレントが大げさに驚いていたっけ。明治の有名な俳人が湯治に来たこともあるそうで、短冊が飾ってあった。美味しいお料理目当てに宿泊するお客さんもいるそうだ。
 シュン君は一人っ子だから、シュン君のお嫁さんになる人は旅館の女将となる。女将の仕事は大変そうだけど、愛があれば大丈夫、きっと乗り越えられるわ。って、そんな妄想に走っている場合じゃなかった。
 そうそう、シュン君からのメールには、「大女将が突然、大晦日に句会を開くって言い出したんだ。友達を誘いなさいと言ってくれたんで、ハルカもどう? こっちに来て、みんなと一緒に年越しをしないか? メグミちゃんや薫子、山田に聡子先輩も来るって返事が来た」
 もうもうもう、速攻でオーケーの返事を打ったわよ。
 だって、シュン君と二人きりで年越しをするんだよ? 新年を迎えた時、ヤドリギの下でシュン君はハルカにキスしてくれて、六月には教会で結婚式をあげるのよ。教会の鐘の音がリンゴン鳴り響き、ライスシャワーの下で祝福されるの。勿論、披露宴ではウエディングケーキをお互いに食べさせるの。ハルカもシュン君もまだ学生だけど、新婚の間くらいは二人っきり暮らしたいものね。シュン君は勉強を教えてくれたりレポートを書いてくれたりして、ハルカはシュン君のためにお料理を作るんだ。シュン君の嫌いな人参やピーマンだって、みじん切りにしてこっそり混ぜちゃうから。栄養のバランスは考えないとね、良き妻として当然のことでしょ。そしてそして、夜は甘く、とろけるようで、めくるめく官能を……。
 ハッ。
 何、このメグミだとか、薫子だとか、聡子って。みんな、シュン君を狙っているヤツばかりじゃない。山田は男だけど、こいつだって、何を考えているのかわかりゃしない。
 妄想に浸っている場合じゃない、シュン君と私の愛は簡単に壊れはしないけれど、油断大敵、ちょっとの気の緩みがウエストを増大させる、じゃなくて、トンビに油揚げを取られてしまうじゃないか。
 敵は句会にあり。
 将を射んと欲すれば先ず馬を射よ。
 シュン君のハートをゲットするためには、大女将、つまりシュン君のおばあ様のハートをゲットしなければ。
 この半年、俳句愛好会のみならず、ご近所の俳句好きのご老人の所で鍛錬してきたハルカの真価が、今こそ問われるのよ。見てなさい、群がるオンナドモ、悉く蹴散らしてみせよう!


「皆さん、ようこそ、おいでくださいました」
 座敷の上座には、シュン君のおばあ様が座っていて、ご挨拶をしている。招待されたのは俳句愛好会のメンバーだけではなく、地元の若い女性やおじさんおばさんたち。でも、圧倒的に若い女の子が多い。鮮やかな振袖を着て、どう考えても普通の句会じゃない。ええい、静まれ、心臓の音。気を乱すな、意識を集中するんだ。おまえは強い。努力は恋を裏切らない。丹田に力をこめろ、ハルカ!
「では、しまきの一語を入れて、句を作ってくださいね。短冊に句を書きましたら、お手を挙げて詠んでください」
 座が水を打ったように静かになった。目を閉じたり、宙を見たり、それぞれのポーズを取って、皆、句を考えている。でも、ハルカ、泣きそう。だって、シマキって言葉、聞いたことも見たこともないのだもん。シマキって何? チマキ食べ食べ、のチマキの仲間、それとも中華のご飯のこと? も、もしかしたら、海かなんかにいる、ぐねぐねっとした動物? ああっ、ダメだ。心臓の音が激しくなっている。帯、締めすぎ、気持ち悪い、吐きそう。
「できました」
 薫子の声だ。薫子は微笑みながら、おばあ様を、次いで、隣に座っているシュン君を見る。シュン君が輝くように微笑んだ。く、くそう。
「サバンナを 風巻吹き荒れ 異常気象」
 一瞬、おばあ様の顔が引き攣ったように見えたのは気のせいか。他の参加者たちは「ほう、若い人の感覚は違うねえ」だとか、「斬新ですなあ」などと口々に誉めそやしている。
「できました」
 今度は聡子先輩だ。
「風巻く夜 こころ燃え立ち いかにせん」
 聡子先輩は潤んだ瞳で、じっとシュン君を見つめた。なんだなんだなんだー! シュン君はどうして、そこで顔が真っ赤になるんだいっ!
 こうして、みな、次々と俳句を詠んでいった。風巻というのは強い風のことらしい、と、ようやくわかってきた。でも、考えつくような俳句は既に詠まれているし、どうすればいい? おばあ様のハートをゲットし、シュン君のハートをゲットするような俳句を早く考えなきゃ、ハイクハイクハイク、ハヤク〜、なんてダジャレているバヤイじゃない、ヤバイ、ヤバ過ぎるっ。
「では、皆さん、句も出揃ったようですね。本年も終わりに近づいてまいりました」
 おばあ様がご挨拶を始めた。そ、そんな、一句も詠めないうちに、終わってしまうの。
「人間、諦めが肝心ですよ、ハルカさん。まだ十八歳なんだから、そのうち」
 隣にいる山田が眼鏡を指先で上げながら囁く。
「そろそろ、お開きといたしま」
「できましたっ!」
 おばあ様だけではない、シュン君や、座にいる全員の視線が集まった。山田を除いて。山田はひっくり返っていた。手を勢いよく挙げるついでに、山田を吹っ飛ばしてやったからだ。
 ごくり、と唾を飲み込んだ。できてなんかいない。でも、できたと言ってしまった。女に二言はなし、嘘つきは嫌いだ。まだ十八歳だけど、もう十八歳だ。どうすればいい、どうすればいい。シュン君を見る。
「風巻吹き 腰巻はらり R−18」

 除夜の鐘の音が厳かに響いてきた。




 めくるめく 愛は遠くに 除夜の鐘  


   ―了―



〜「ケーキ・年越し・アンティーク」「人参(漢字で!)・サバンナ・風巻(しまき)」

ええっと、10分オーバーしたけど、なんとか書けましたー。
俳句のことも句会のことも、調べていないので、その辺りはデタラメです。
大晦日に句会を開く、というのは、あり得ないと思うのだけど(しかも、旅館を経営しているし)、おばあ様は引退されていて暇であった、ということで。
作中の俳句は俳句にも川柳にもなっていないのは、作者の不勉強、センスがない、ということで、お許しを〜。

『師走でごわす』

 昔の人は、十二月を師走と呼んでおりました。師は先生のことで、先生も走るくらい忙しい月、という意味ですね。
 石山小学校のノンタ先生は三年一組の先生です。本当の名前は野村健太なのですが、「のんびり行こうや」が口ぐせなので、のんびり先生、ノンタ先生と呼ばれているのです。
 さて、石山小学校の二学期が終わり、冬休みとなりました。それまでは、他の先生もノンタ先生も忙しく、文字通り走り回っていたのですが、ようやく、少しだけのんびりできるようになりました。と言っても、先生たちは、毎日、学校に来ます。雪が降れば雪かきをし、昼間は職員室で仕事を、夕方は、グラウンドに作ったスケートリンクに水をまいてから帰ります。

 ところで、皆さんは落とし物をしたことがありますか?
 名前の書いていない落とし物は、誰の物だかわかりません。落とした子が気がつけば良いのですが、気がつかなかったり、新しい物を買ってもらったので、落とし物を探さなかったりします。たいていは、消しゴムや鉛筆のような小さな文房具や、傘やハンカチ、靴下が落とし物になっています。ノンタ先生は落とし物係ですから、生徒たちは落とし物を拾うと、まっすぐにノンタ先生に届けます。ノンタ先生は、それを預かり、毎週月曜日、児童玄関前の廊下に机を置き、そこに落とし物の入った紙箱を置きます。落とし物が持ち主の子に戻ることもあるのですが、ずっと、一年近く、落とし物箱の中で過ごしている物たちもいるのです。

 十二月三十日の昼下がり。明日は大晦日ですから、どの先生も学校には来ていません。ノンタ先生ですら、お家の大掃除をしたり、買い物に出かけたりしています。
 誰もいない学校なのに、廊下から、にぎやかな声が聞こえてきます。

「あーあ。先生もみんなも来ないなんて、つまらないねー」
「しかたないよー、冬休みだもん」
「ノンタ先生は毎日来てくれると思ったんだけどなあ」
「ノンタ先生、お部屋の中、ぐちゃぐちゃだから、大掃除をせにゃならん、って言ってたよ」
 小さな消しゴムたちが、くすくすと笑いながらおしゃべりをしています。
「それにしても、ノンタ先生、うっかり屋さんだよ。僕たちを片付けてくれないで、廊下に置きっぱなしだ」
 下敷きが、体をパタパタ揺らしながら言います。
「でもさー、外の景色も見られるし、ガラスケースの中にいる、お人形さんたちともお話できるから、私は廊下にいた方がいいなあ」
「オレはどこでもいいよ、角度が測れるのなら。ねえねえ、三角定規さん、角度を作ってよ。あ、九十度はダメだよ」
 分度器は右に左にころころと揺れながら、どこかに角度を測れる場所がないのか探しています。直角の九十度は、もう飽きたようですね。
「君たちはいいよなあ。オレなんて、オレなんて、ずぶ濡れのままだよ」
 廊下の隅にあるブリキのバケツの中から、黒い雑巾が、ふらふらと立ち上がりました。
「うあー、こっちに来ないでくれー」
「冷たいー、くさいー、きたないー」
 消しゴムたちも、三角定規も鉛筆や蛍光ペン、靴下まで大騒ぎです。
「あ、雪が降ってきた!」
 片方だけのミトンの手袋の声が響きました。落とし物たちが、いっせいにガラス窓に並びました。灰色の空から白くて大きな雪が、ゆっくりと踊るように降ってきています。落とし物たちの息で、ガラス窓がうっすらと曇りました。
 でも、赤いコンパスだけ、窓に並ばずに、箱の中で静かに足で円を描いておりました。
「元気だしなよ、コンパスちゃん。みどりちゃんは、きっと、戻ってきてくれるよ」
「うん……」
 コンパスはうつむきながら、円を描き続けました。コンパスの体には「さとうみどり」と名前が書かれています。コンパスの持ち主のみどりちゃんは、長い間、学校をお休みしておりました。フィギュアスケートの得意なみどりちゃんは、いつも赤いコンパスで円を描きながら、クラスのお友だちに「スケートでこうやって円を描いてすべるんだよ」と話していたのでした。
 みんな、しん、となりました。
 コンパスだけではありません。みんな、自分の持ち主の所に帰りたいのです。 

 ガシャガシャーン! どすんどすん!
 その時です。大きな音が響き、人間の、それも大人の大きな足音が聞こえてきたのです。落とし物たちは急いで箱の中に戻り、雑巾はバシャンとバケツの水の中に潜りました。
 やって来たのは、学校の先生でもノンタ先生でも、ガードマンのおじさんでもありません。
 毛糸の帽子を目深にかぶり、黒いジャンバーを着た、見るからに怪しそうな男です。泥棒でした。泥棒は、きょろきょろと廊下を見渡し、ガラスケースを見つけました。ケースの中には青い目の西洋人形や振袖を着た日本人形、インディアンの人形やマトリョーシカ、象の人形が飾られておりました。西洋人形の瞳は青い宝石でできていました。
 泥棒はガラスケースに近づき、曲がった針金をポケットから取り出すと、鍵穴に差し込み、右に左に回し始めました。落とし物たちは、どきどきしながら、泥棒の様子を見ていました。
 やがて、カチャリという音がしました。泥棒はにやりと笑うと、ガラスケースの戸を引きました。両手をケースの中に入れ、西洋人形を掴みました。人形の「助けてー!」という声が落とし物たちの耳に聞こえました。
 大変です。人形は泥棒にさらわれてしまいます。

「どうしよう、お人形さんを助けなくちゃ」
「ノンタ先生は、ノンタ先生はどうしていないの」
「先生たちはお休みだよ。僕たちで、なんとかしなきゃ」
「なんとかって、どうするの」
「まず、消しゴムたちだ。行けー!」
 と言うが早いか、下敷きは体を反らせて、消しゴムたちを次から次へと、泥棒の頭や背中に向かって飛ばしました。
 でも、泥棒は、振り向きもしません。
「次は三角定規だ」
 下敷きは三角定規、分度器、靴下、片方だけのミトンを飛ばしましたが、三角定規の先が、ちくりと泥棒のおしりを射しただけでした。おしりをさすりながら泥棒は振り向きましたが、足元に散らばっている文房具をちらっと見ただけでした。
「次はコンパスちゃんの番だ!」
「ダメだよ、人間に針を向けたらダメってパパとママから言われているの」
 赤いコンパスは首を振って、後ずさりしました。
「オレが行く!」
 叫びながら、バケツの中から飛び出したのは雑巾でした。
「よっしゃぁー!」
 下敷きは雑巾の後ろに立つと、思いっきり体を反らせました。
 バッシャーン!
 黒い水飛沫と共に、雑巾はものすごい早さで飛んでいき、見事に泥棒の顔に命中しました。びっくりした泥棒は、顔に貼りついた雑巾を引きはがそうとしました。でも、雑巾は手足に力をこめて泥棒の顔に貼りつきました。
「うがぁ、ぐざ、づめ。いででで、んぐっ」
 泥棒は言葉にならない言葉を発し、両手で雑巾をはがそうとジタバタしてます。両足もドタバタとしてます。
「それっ、今だ!」
 鉛筆や蛍光ペンたちが、いっせいに転がっていきました。泥棒の足の下に入り込みます。泥棒は両足をずるずるっと滑らしました。
「うが、うが、づめ」
 泥棒の足の裏が浮かび、ずっでーん!、という大きな音がして、泥棒は転んで、ひっくり返りました。

「おい、そこに誰かいるのかっ!?」
 ノンタ先生が大声が出しながら、走ってきました。
 ガラスケースが割られ、廊下にのびている泥棒と落とし物の文房具やミトン、靴下を見て、ノンタ先生は目を丸くしました。よく見ると、泥棒の顔には濡れた雑巾が載せられていました。


    ―了―

「師走・昼下がり・いくばく」「文房具を登場人物の一つにする」

自分で出したお題に苦しめられるなんてなんて。。。。
「いくばく」は使えなかった。「師走」と「昼下がり」も近かったなあ、と反省。

小学校二、三年生くらいの子供たちを対象にした作品。『ぞくぞく村』のような感じで書いてみたかったのだけれど、簡単にわかりやすく書くのが、これほど難しいとは思わなかった。
漢字は開いてないけれど、使用している言葉は、多分、読者にはわかると思うのだけれど、どうだろう。

ハヒハヒ。
今日が終わるまで、三時間切っちゃったじゃないか。
間に合うのか!? ハルカッ!!!!! 

『恋』

 ごくごくたまに慎ちゃんは怯えたウサギになる。不安や弱さを硬く丸め小さな玉にして躯の奥に押し込める。誰にもわからないように、外に溢れださないように。でも、躯の周り、高さ一センチくらいの所にある空気が微かに震えている。私にはわかる。私に共振するからだ。空気は、ふるふると、ちりちりと、ぴりぴりと、その時によって震える音は違う。震えの切っ先が鈍い時も鋭い時もあって、鋭い時は慎ちゃんの痛みも伝わってくる。
 共振した時、私は慎ちゃんをギュッと抱きしめたくなる。抱きしめたことはないけれど、抱きしめたいけれど、抱きしめることはできない。だから、大抵の場合は慎ちゃんの手をギュッと握る。慎ちゃんの震えが止まるように願い、私が慎ちゃんの一番近くにいることを伝えるために。
 私は十五歳、慎ちゃんは三十一歳。今までもこれからも、私は慎ちゃんより年下だけれども。

 駅裏にあるレストランで、私はオムライスを、慎ちゃんとママはパスタを注文した。私の五歳の誕生日で、私と慎ちゃんが初めて出会った日だ。慎ちゃんは濃紺のスーツにネクタイという、今思えばリクルートスタイルで、髪の毛もビシッと七三に分けていた。緊張していたんだろうな。ママは頬を薔薇色に染めて、慎ちゃんを紹介した。
「牧野慎一さん。ママ、慎一さんと結婚するの。慎一さんは理沙の新しいパパになるのよ」
 子供だった私はママの言葉に混乱した。
 パパはお仏壇の中にいて、居間や寝室にはパパとママ、私の三人で写っている写真が飾ってある。写真の中にいるパパが本当のパパで、他の人がパパになったら、パパはパパじゃなくなるのだろうか? パパはいなくなっちゃうのかな。
 いろんな気持ちが洪水のように押し寄せてきて、勿論、今のように順序だてて考えたわけではなくて、自然に涙がぽろぽろと溢れてきただけなんだけど、慎ちゃんはすぐにわかってくれたみたいだった。
「僕のことは慎ちゃんって呼んでね。理沙ちゃんのパパはちゃんと理沙ちゃんの側にいるからね。心配しなくても大丈夫だよ」
 洟をすすって顔を上げると、慎ちゃんがにこにこ笑っていた。目が合うと、今度はヘン顔をした。寄り目にしたり、鼻の穴を大きく広げたり、指で目尻を上げたり下げたり。さっきまでの真面目な顔と大違いで、私は声を出して笑ってしまった。そうしたら、慎ちゃんはますますヘン顔を続けて、パスタを運んできてくれたウェートレスさんが笑いをこらえてお皿を置いていった。慎ちゃんもママも顔が真っ赤になって、慌てて水を飲んだ慎ちゃんはむせた。そして三人で笑い転げた。
 ママは慎ちゃんと結婚した。教会での結婚式が終わって、新しいお家に入る時、慎ちゃんはドアを開け、ママをお姫さまだっこして玄関の中に入った。ママはびっくりして、きゃあ、と言った。理沙も理沙もってせがむと、慎ちゃんは私のこともお姫さまだっこしてくれて、くるりと一回転もしてくれた。私もママも大喜びで、きゃあきゃあ言った。
 でも、三人の生活は長くは続かなかった。慎ちゃんと結婚して半年も経たないうちに、ママが交通事故で亡くなったからだ。私には祖父母も近しい親戚もいなかった。慎ちゃんのお父さんお母さんは、私を施設に入れるように言ったらしい。もともと、慎ちゃんとママとの結婚には反対していて、私のことも嫌いだったのだ。
 私は部屋の隅で、ママのタオルケットにくるまり眠ったふりをしていた。慎ちゃんのお父さんお母さんの、聞きたくない言葉が聞こえてきて、私はママの匂いのするタオルケットの中で小さく小さくなっていた。卵よりもアイスの実よりもさくらんぼよりも小さくなって、そのまま消えてしまいたかった。躯がちりちりと震えていて、震えが誰かにわかったら起きていることもわかってしまうから、だから、震えないように躯を硬くした。
「僕は理沙の父親です。理沙と二人で暮らしていきます」
 慎ちゃんの、きっぱりとした声が聞こえた。慎ちゃんのお父さんが大声を出して怒り出した。テレビドラマの中に出てくる借金取りのおじさんのようで、私は怖くなった。暴れて家の中をめちゃくちゃに壊したり、慎ちゃんを殴ったりするんじゃないかと思った。
 けれど、慎ちゃんは二言三言、静かな声で何かを言って、お父さん達を追い出した。胸のドキドキがおさまってから、私は薄目を開けた。ママのお骨や位牌、お花やお線香の上がっている前で、慎ちゃんは正座してうなだれていた。両膝の上に拳を置き、空気が震えていた。
 慎ちゃんも私と同じだと思った。私はタオルケットを引きずり、慎ちゃんの側に寄った。慎ちゃんは微笑むと、私を膝の上に抱き上げたくれた。

 私は五歳だったけれど、慎ちゃんに恋をするには充分な年齢だった。

    ―了―


〜「借金取り、お姫様だっこ、ウサギ」

何回か冒頭を書いている話があって、18歳の少女、血の繋がらない叔父か義父、その男を好きな女との三角関係の話。
三語で書こうとする度に、お題が流れて見送っていたのだけれど、今回は書けた。
と言っても、女を登場させたら三千字を超えちゃって、こりゃヤバイと思って、その部分は削除。
主人公の語りは、幼さを出したくて、最初は「あたし」としていたら、幼すぎたし、すれている感じもしてきて、「私(わたし)」に変更。この方が背伸びをしている感じが出てるかな。
前に、SBさんが「普段自分の書かないものを」という課題を出されていたので、女の対決!、みたいなものを書いてみたかったのだけれど。。。。。
続きをちょっと書いてみたい。

Nさんのこと

この時期、「喪中のため年末年始の挨拶を遠慮する」と書かれた葉書が郵送されてくる。
殆どの場合、家人の関係者であったり、既に通夜や告別式に参列した方のことであったりして、あまり驚くことはなかったのだけれども、昨日届いたのは、私の知人Nさんのことで、亡くなったことも知らず、とても驚いた。素っ気ない(規格どおりの)文面が印刷された葉書を読んでいるうちに、思わず涙が溢れてきた。

Nさんと知り合ったのは、二年前。ちょうど今頃の時期で、出会った場所は札幌の病院。
夏の終わり頃、体調を崩して私は入院した。すぐに手術はできなくて、入退院を繰り返し、ようやくクリスマスの前に手術することになった。その時に同室だったのがNさん。
いつも明るくて前向きで、とても親切な方だった。患者さんの中には、ちょっと、と思うような人もいて、敬遠されていた人もいたのだけれど、Nさんは分け隔てなく接していた。
Nさんのいらっしゃる所、笑い声が絶えなかった。廊下の隅で、患者さんの悩み事相談にのっている姿を見かけたこともある。私も随分と励まされ、とても、お世話になった。手術後、思うように回復しなくて、ちょっと辛かった時期でもあったので、その頃のことは思い出したくない気もするけれど、だからこそ、その頃に受けた心遣いは忘れてはいけないのだろうね。

地方に住んでいると、なかなか、札幌へ行けない。
今年に入ってから、三度、札幌へ行ったけれど、いつも用事があってのことで、バタバタとして帰宅した。
入院していた頃に、仲良くしてくださった方達とは年賀状のやり取りはしていて、いつか札幌(札幌在住の方ばかりなので)で、お会いできたらいいなあ、などと思っていた。
でも、Nさんが、こんなに早くに逝かれるとは思っていなかった。
お元気に暮らされていると思っていたのに。

どうして亡くなられたのかはわからないけれど、治療や最期の時を迎えるまでの間、辛かったり苦しい思いをしないでくれたら、と願う。

今日の午後、Nさんのご主人に手紙を書いた。書きながら、やっぱり泣きたくなった。字も下手で、文章も下手なので、情けなくもなった。
十一月に奥様(Nさん)が亡くなられて、ご主人やご家族を励ますような文章を書けばいいのに、そんな内容じゃなくて、Nさんとの思い出を書いてしまった。投函しちゃったから遅い。
今になって恥ずかしくなってくる。
けれど、Nさんは、あんな下手な手紙でも、きっと、笑って読んでくれるだろう。

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